プリント基板(PCB)でよくある不良とその対策

プリント基板(PCB)は、電子機器の基盤として非常に重要な役割を果たしています。しかし、その製造工程においては、さまざまな不良が発生することがあり、製品の品質や信頼性に影響を及ぼします。今回は、プリント基板でよく見られる不良の種類とその対策について詳しく解説します。

1. ハンダ不良

ハンダ不良は、PCBの実装プロセスで最も一般的に発生する不良の一つです。ハンダの不足や余剰、はんだブリッジ(異なる端子間でのショート)、空洞(ボイド)などが典型的です。これらは、接続不良や短絡を引き起こし、回路の信頼性を低下させる原因となります。

対策:温度管理やフラックスの選定、適切なハンダ量の調整が効果的です。また、はんだ付け装置のメンテナンスを定期的に行うことで、安定した品質を確保できます。

2. デラミネーション

デラミネーションは、基板の層間剥離を指し、PCBが加熱や機械的ストレスを受けるときに発生します。特に多層基板においては、各層間の接着不良が発生すると回路が断線する可能性があり、重大な故障の原因となります。

対策:製造段階でのラミネーションプロセスを最適化し、湿度管理を徹底することが重要です。また、適切な材料を選定し、製造環境を整えることでデラミネーションのリスクを低減できます。

3. ショート・オープンサーキット

プリント基板では、ショート(短絡)やオープンサーキット(開放回路)も一般的な不良です。ショートは隣接する導体間が接触して電流が流れてしまう現象で、オープンサーキットは意図した接続が途切れていることを指します。

対策:設計段階での配線管理が重要です。信号線の間隔を適切に保ち、製造工程での検査を徹底することが効果的です。特に視覚検査や自動光学検査(AOI)の導入により、ショートやオープンサーキットの早期発見が可能です。

4. 表面の汚染・腐食

PCB表面の汚染腐食も、長期的な信頼性に影響を及ぼします。これらは製造工程中に発生した汚染物質やフラックス残留物、湿気などが原因で発生し、導体の劣化や接触不良を引き起こすことがあります。

対策:クリーンルーム環境での製造や、基板の洗浄工程を適切に行うことで、表面の汚染を防止します。また、表面処理(例:金フラッシュやHASL)の選択によっても腐食のリスクを減らすことができます。

5. ビア不良

ビア不良とは、層間をつなぐビア(貫通孔)が正しく機能しない現象です。ビアの穴に銅が充填されていなかったり、ビア周囲にクラックが発生したりすると、層間の導通が途切れてしまいます。

対策:ビア形成プロセスの品質管理が必要です。特にドリル工程での精度や、銅めっきの厚さ管理がビア不良の防止に寄与します。また、ビアの設計を工夫し、基板の厚さやレイアウトに適した形状を選ぶことも重要です。

まとめ

プリント基板の不良は、製造工程での精密な管理と、適切な対策を講じることで大幅に減らすことが可能です。これらの不良を防止することで、PCBの品質が向上し、最終製品の信頼性も高まります。製造環境やプロセスを見直し、最適化を進めることで、不良の発生を最小限に抑え、顧客満足度を向上させることができるでしょう。

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