プリント基板のレジストとは?基礎から役割まで徹底解説

電子機器の製造に欠かせない部品の一つに「プリント基板(PCB)」があります。これを製造する際に必須の技術が「レジスト」です。レジストとは何か、その役割や種類について解説します。

レジストとは

レジスト(Resist)は、ソルダーレジストやソルダーマスクとも言い、プリント基板上に配線やパターンを保護するための薄膜コーティングです。主にエポキシ樹脂やアクリル樹脂で構成され、プリント基板のパターン部分以外を覆うことで、外部からの影響を最小限に抑えます。

レジストの役割は多岐にわたり、基板の信頼性を向上させるために欠かせない存在です。配線保護だけでなく、外部環境から基板を守り、製品の耐久性や安定性を高めます。

レジストの役割

1. 電気絶縁保護

プリント基板は非常に細かい配線パターンを持っており、誤って隣り合う配線が接触すると短絡の原因になります。レジストが各配線を保護し、電気絶縁の役割を果たすことで安全な動作を保証します。

2. 耐環境性の向上

基板は長期間使用されるため、湿気や酸化、摩耗などからの保護が必要です。レジストが基板全体を覆うことで、環境要因に対する耐久性が向上し、腐食などによる故障のリスクを減らします。

3. 基板製造時のエッチング保護

エッチング工程では、基板の表面に銅を残すべき部分以外を溶かして配線パターンを作ります。レジストが保護膜として作用し、望まない部分のエッチングを防ぐため、配線パターンが正確に形成されます。

4. メンテナンスの容易化

基板がレジストでコーティングされていると、表面が均一で滑らかになり、ほこりや異物が付着しにくくなります。これにより、基板の清掃やメンテナンスがしやすくなるというメリットもあります。

レジストの種類

レジストには用途に応じていくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

1. ソルダーレジスト(ソルダーレジストインク)

ソルダーレジストは最も一般的なタイプで、はんだ付け工程で不必要な部分にはんだが流れ込まないようにするためのコーティングです。これにより、誤った接続や短絡を防ぎ、安定した接続を確保します。

2. ドライフィルムレジスト

主にエッチング工程で用いられるドライフィルムレジストは、基板に薄いフィルム状のレジストを貼り付けてから紫外線で露光し、配線パターンを形成します。正確なパターンを形成するための高い解像度が求められる工程に適しています。

3. インクジェットレジスト

インクジェット技術を応用した新しいレジストです。従来のレジストのようなマスクが不要で、基板設計に合わせて直接レジストを印刷するため、コスト削減や小ロット生産に適しています。

レジストの塗布方法

レジストの塗布方法も複数あり、基板の特性や目的によって選択されます。

1. スプレーコーティング

レジストを基板に均一にスプレーし、乾燥させる方法です。基板全体にまんべんなくレジストを塗布する際に用いられます。

2. スクリーン印刷

インクを使用してレジストをスクリーンを通して基板に印刷する方法です。大量生産に適しており、特にソルダーレジストでよく用いられます。

3. インクジェット印刷

先述のインクジェットレジストで用いられる方法で、デジタル化により直接プリントが可能です。カスタマイズや小ロット生産に対応しやすい点が魅力です。

レジストの選び方

レジストはプリント基板の用途や環境に応じて最適なものを選択する必要があります。例えば、耐湿性や耐熱性が求められる用途では、特殊な耐久性を備えたレジストが必要です。また、細かい配線が多い基板では、解像度の高いドライフィルムレジストが適しています。

レジストの今後の進化

最近では、より環境に優しいレジストや、さらに細かいパターン形成が可能な技術が進化しています。例えば、インクジェットレジストの技術向上により、基板製造における精度やコストのバランスが改善され、より柔軟な設計が可能になりつつあります。


レジストは、プリント基板の信頼性や耐久性に大きな影響を与える重要な素材です。電気機器の小型化・高性能化が進む現代において、レジストの役割はますます重要になっています。

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